さんの肉じゃがはおいしい。
最近、修行だの何だので家へも帰れずにいたから、久々に食べられるのがとてもうれしい。
「おいしい?」
「んまいっす!」
米と一緒にかっこみながら、盛大に頷く。さんはにこにこしながら、たくさん食べてね、と言った。
「─────あら」
「え」
ふと、さんの手が俺に伸びる。ちゃぶ台越しに頬に触れて、また離れた。
「ご飯つぶ」
ぱく、とつまんでいたモノを口に入れて、さんは、くすくすっと笑う。
とたん、俺の顔にカーッと血が集まっていくのが、わかった。