苦しむあなたを見たくなくて。
傷付くあなたを見たくなくて。
膝を折るあなたを見たくなくて。
地を這うあなたを見たくなくて。
その瞳が日に日に獣を射る矢じりのように鋭くなっていくのを止めたくて。
いつもの優しいあなたのままでずっと傍にいてほしくて。
敵への宣戦でなく、兵への怒号でなく、穏やかな声音でと呼んでほしくて。
本当は。
戦ってほしくなくて。
「…………ドイツ」
私はあなたに、花を贈るのです。
両手いっぱいに、抱えきれないくらいたくさんの花が重くて、あなたが戦地に行けないように。